

10月23日。ミャンマー国軍は、「少数民族の皆殺し作戦」の歴史的な蛮行を行った。
ミャンマー北部のカチン州で、少数民族組織・カチン独立機構(KIO)が、創立記念日を祝うコンサートを開催中のところに、国軍の戦闘機3機が、午後8時半ごろ、会場のメインステージ近くに、爆弾を投下し、60人以上を殺し、100人以上が負傷。
KIO創立62周年を祝うカチン族の人々の記念の行事を、民族の祭典に集う人々を狙ったものであり、
国軍のこの蛮行は、明白に少数民族の「皆殺し宣言」であるという点では、クーデターの行きついた最悪の歴史的犯罪である。
毎年の恒例の民族の祭典日に集まる人々を、爆撃機で、空から爆弾を投下するという作戦は、国軍の存在を一日たりとも許すことは、人類史的な犯罪であることを世界に明らかにしている。
カチン族の人々が、自らを命を守る手段=対空武器を持っていないこと、祭りを祝うコンサートを意図的に的にするという卑劣な作戦は、国軍とは、国を乗とった殺人集団であることをこれほど明らかにしたことはない。
2023年2月1日、「非常事態宣言の期限」が、切迫している。国軍の蛮行は、ますます、絶望的にエスカレートするのは明白。
本当に、世界の人々が問われています。
国軍は、「報復軍事作戦を行っただけである」と、発表。そして、「空爆」を否定し、「民間メディアが多数の民間人や歌手が死亡したと報じているが、すべてフェイクニュースだ」とした。
とんでもない開き直りで、自らの蛮行を認めないという点では実に卑劣奸である。
日本政府は、軍を擁護をする立場を打ち出した。
この軍の蛮行に対して、日本政府は、松野官房長官と、林外務大臣が、記者会見で態度を表明した。
松野官房長官は、「極めて深刻に受けとめ、攻撃を非難」し、林外相は、「心を痛めている、こうした攻撃を非難」し、そのうえで、松野と林は、「事態の打開に向けて、ミャンマー国軍に対し、暴力の即時停止やアウンサンスーチー氏を含め、非拘束者の解放、それに民主的政体の早期回復について、具体的な行動をとることなどによって、平和的な問題解決に真剣に取り組むように改めて強く求める」と述べました。
そして、マスコミは、この両者の発言に対して、何一つ、質問も、反論のせずに受け入れて、報道した。
この松野と林の発言は、とりあえず、「軍を非難した」というアリバイ発言であることは明白である。
およそ、国を代表しての発言としては、まともに受けとめられるものではないことは、松野も林も、また、マスコミも十分承知してしている。そのレベルの発言であることをまず、確認することが必要である。では、誰に聞かせるための発言なのかという問題である。
それは、「野党と日本国民だけを相手にした」ものである。日本政府も「抗議しているという態度である」ということの安心感を野党と日本国民に与えるための芝居であり、このレベルで日本国民には、十分であるという政府の対応なのである。
この松野と、林の発言から、日本以外では、「日本政府は、軍を擁護している」と、理解するのである。乃至は、誰も見向きもしないレベルのものでしかない。その意味では、日本は、ミャンマー情勢からは、完全に脱落している。世界のどの国からも相手にされなくなっているのである。
今回の軍の蛮行は、如何なるレベルの犯罪なのかについて一言も触れず、具体的に踏み込まない発言などは、恥ずかして、言わないものであるが、それを承知の上で、発言していることは、国軍に対して、「日本政府の態度は、軍擁護であり、態度は変わっていません」ということを、伝えているものなのである。
クーデター以降の、日本政府の公式発言で、軍を具体的に批判しているのは、クーデタ直後の「態度表明=今回でも使っているもの」と、2,3月のデモへの「発砲」についてと、クーデター1年目の表明=これは、クーデター直後の表明と同じもの、そして、今年の7月の「死刑執行」への非難の態度表明と、そして、今回のカチン族への蛮行についてであり、これだけなのである。
クーデターは、2011年から始まった「民主化」政策を根本的に否定して、国軍の軍事独裁体制の永久化を目論むものであり、これに対して、この軍を許さず、軍打倒、民主化の徹底化を求める国民の戦いであり、軍が国民を制圧するとしてクーデターを強行したが、現実は、軍が勝てなく、「逆に」追い詰められてきたのだ。
日本政府は、クーデター当初から、軍擁護であった。軍との共同作業=共同事業としての進出であった。
日本政府にとっては、軍なきミャンマーは想定できないのである。が、現実の進行は、軍無きミャンマーこそが求められているのである。
だからこそ、軍を護持するしかないのである。絶望的な道を日本政府は進んでいるのだ。
この10月から、トヨタが事業を再開した。最悪の選択をトヨタが選択した。軍が護持されるミャンマーを選択したのだ。国民の意思と対立しての事業の開始は、軍が権力を握り続ける体制を選んだのだ。
が、その世界は、ロシアと中国が支配するミャンマーなのである。日本の入り込む位置はない。
問われていることは、戦後日本の進んできた道なのである。
国会が開かれている。が、どこからも声が上がらない。
日本政府は、アメリカの太平洋戦略に追随し、国防の強化を叫んでいる。台湾有事=日本有事を叫んで、この秋から、冬にかけて、戦略的な大転換に踏み込もうとしている。国際協力=ODA戦略の練り直しを急いでいる。ミャンマー情勢は、このODA戦力の根本的な見直しを迫っているが、これを否定し、この11月末までに、大軍拡に対応したODA戦略を確定しょうとしている。
ミャンマー国民の命を懸けた国民民主革命の闘いは、日本の今後を決めるのは明白である。
日本国内の動きは絶望的だが、その日本を根底から、揺さぶっているのが、ミャンマー国民の闘いなのだ。
全力で支援しましょう。