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10・16に、トヨタ三重宮川山林で、「秋の森トレッキング」の催しがあったので参加してきました。

杉・檜の人工林の再生の現場を見学することで、「山林再生」の実際を勉強し、戦後日本の拡大造林による人工林政策の現実を検討してみようと、また、「広葉樹の山づくりの」歴史的位置を確認することができればという思いで参加しました。

トヨタ三重宮川山林は、1700ヘクタールの面積を持つ巨大な山林です。ここは、日本でも有数な山林王であった諸戸氏が明治36年にこの地で山づくりを始めたという山で、戦後の林業の行き詰まりの中で、荒廃しつつあった諸戸林業のこの山をトヨタが2007年に購入し、この山の再生に乗り出しているという山です。

そして、その再生の現場を見れる様にと、「遊歩道」を設置して、林内を2時間ぐらいで見学できるようにしています。
この日は、この行事を担う「宮川森撰組」の二人の若者が案内してくれました。
参加者は20名ほどでした。

トヨタが「50年の森林再生ビジョン」に基づいて進められている山です。

10年単位で進められている再生計画は、現在は最初の10年の9年目で、「山林の整備、再生」の段階で、間伐推進が進められていました。
だから、林内は明るく整備されていました。
歴史ある山だから、100年を超える杉・檜があり、土地は肥沃で、杉・檜の木々が育っており、、人工林としてはよく手入れされている山でした。
その意味では、トヨタ資本がその力をもってするわけだからそれなりの成果が出るのが当然なのだと思いました。
経済林として十分に採算取れるというトヨタの判断があったと思います。何よりも「環境に貢献する企業」という「名誉」を手にすることができるのですから、
1700という広大な山林だが、それは歴史ある山だから、「管理し易い山」であります。
トヨタ資本の「利益が最大限に確保できる山だからこそ手に入れたというのが実際だと思います。
その意味では、戦後日本の人工林政策の破綻、それにもとずく山の崩壊的危機を救うという今、もっとも問われていることへの回答にはならないものだと率直に思いました。
トヨタの宣伝になる意味があっても、現在日本の山=林業の危機に対する方策とは無縁だと思いました。

パンフでは、「間伐によって、多様な自然環境が生まれる」とあります。

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が、実際は、下層植生は、シダとシキミと榊だけです。
たしかに光がよく入るので大きくなっていますが、「下層植生が豊かに」というのは誇大で、間違いです。
動物たちが集まるようなものはありません。
杉・檜の人工林では、下層植生が豊かにというのは「あり得ません」。動物たちが集まりません。シダや榊は、腐葉土は作れません。山に動物たちが集まりませんから、動物の糞が堆積されません。一言でいえば山に栄養が無いのです。また、土は作られません。
この点では明らかに間違いだし、誤ったものです。
杉・檜の木は、日本の気候・風土に合った「優れた用材」であることは明瞭です。が、山をすべて杉・檜の人工林にしてしまった、戦後日本の山=林業政策は歴史的に破産していると思います。
今こそ、200年、300年先をも見通した山づくりが求められていると思います。
「杉・檜の人工林で山が豊かになる」というのが間違いであったということを明白にすることが求められていると思いました。